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Back log No.3-再生時間 06:02

003「あらぁ」
隊長「どうされましたか、母様」
003「この辺り、確か…市場開催は隔週じゃなかったかしら?今日は土曜よね。」
隊長「はい。去年からのサングラの市場では町内の決まりで、機神祭が近くなると毎週末2日間は市場を開くようになりました。」
003「あら、そうなのね。…毎年言っている事ではあるけれど、機神祭なんて…いいのにぃ。嬉しいけど、このお祭りで働く者達が多くいるのでしょう?いつも頑張ってくれているのだから、年の始めくらいは休みを…」
隊長「ふふ、母様のそういう所に皆、感謝をしているのです。母様は何時も寛大だ、私達の誇りです。だから皆、母様の事をお祝いしたいのですよ。」
003「まあ、ふふ。ありがとう。…本当に嬉しいわ、でも無理はしないよう言ってあげなきゃ」
隊長「はい、私共も区域管理の代表者には申し伝えておきます故、どうか御心配なさらぬよう」
003「そうね。其方からもよろしくね。」

隊長「母様、次はマルント広場ですね。」
003「ええ。植えたガーベラのタネは踏まれてないかしら?こっそりやってしまったからもしかすると庭師の方々に」
隊長「はい、先週末のですよね?それなら私が此処の庭師に申し伝え…」
003「まあ!言ってしまったの?」
隊長「?ええ、はい…」
003「ダメじゃない言っちゃ!ビオトープまでこっそり咲けば皆驚くと思ったのに。」
隊長「こ、これは失礼致しました。お許し下さい。」
003「もういいわ。頭を上げなさい。また何か考えるわ。次はもっと吃驚するようなアイデアを用意するから、大丈夫よ。」
隊長「大変失礼致しました、母様。」

少年「あ!母様!」
隊長「む…母様、子供がこちらへ…」

003「あらあらあら、ミト!またお父様とはぐれてしまったの?」
少年「父さんとは…喧嘩したんだ!僕が拾った猫を飼いたいってお願いしたのに捨ててこいって…だから…」
003「そう…ミトは優しいものね。…この子がその猫…?」
少年「うん!でもさっきから全然動かないんだ。寝ちゃったのかな?」

隊長「母様…この猫は…」
003「…貴方は静かになさい。」

003「ミト、この子は疲れて寝てしまったわ。私の王宮なら場所も広いし、この子のお昼寝にはうってつけよ。元気になるまで、暫く私が預かるというのはどう?」
少年「ほんと!母様が見てくれるならきっと大丈夫だね。母様、ありがとう!」
003「ふふ。でもねミト、この子は本当は自然に帰りたがっているみたいなの。私にはわかるわ。だから元気になったら、森で仲間たちのところに返してあげてもいいかしら。王宮は広いけど、この子の望む遊び場は…もっと広くて自由なところみたい。」
少年「そうなの…?じゃあもう、会えないの…?」
003「いいえミト、あなたがこの子を忘れなければ、何処にいても繋がっているのよ。この子も広い場所に行きたがっているわ。縛り付けてしまうのは…可哀想でしょう。」
少年「う…」
003「ミト、友達は好き?」
少年「う、うん」

003「友達はね、自分の形を教えてくれるのよ。この子だってそう、もし狭い所にいたらいずれ、自分の形を見失ってしまうかもしれないの。『広く可能性を見渡せる眼を持ったものだけが、自分自身の形をより色濃く鮮明に表して、存在を確実なものにする』のよ。…ミトには難しいかもしれないけど、友達は多い方が楽しいでしょう?」
少年「うん!そうだね…その子も、友達、欲しいの?」
003「ええ!そうよ。だから友達がたくさんいるところへ帰してあげましょう。」
少年「わかったよ、母様。わがまま言って御免なさい。」
003「ミトはちゃんと自分の事を分かってあげられるとてもいい子よ。素敵な子よ。さあ、もう陽も落ちてしまう、お父様にも正直に気持ちを伝えてね。仲直りは必ずできるはずよ。」
少年「うん…母様ありがとう!じゃあね!」

隊長「母様…」
003「アイル、私は…機神と呼ばれて居ても、神の所業…命の有無を。どうにか出来る訳ではありません。あの子も…いつか私のついた嘘を恨むのでしょうか。」
隊長「私には…私にはわかりません。」
003「…この子は、宮の霞草の下に。」
隊長「仰せのままに。」

-サングラ庭園区域からマルント広場まで
【::#III側近王宮街の親衛隊 隊長が録音していた巡回記録から】